国語教育史学会

第7回例会(国語教育史研究会)

日 時 1999年10月9日(土) 2:00〜5:00 早稲田大学14号館807室
題 目 研 究 国語教育におけるコミュニケーション概念の導入 −国語教育学を構築していくための基礎研究として−
  渡辺 通子(茨城県立多賀高等学校)
資料紹介 米国ハワイ州の新指導要領より『Language Arts』の紹介
  榎本 隆之(早稲田大学高等学院)
参加者 石毛慎一、伊藤博、内田剛、牛山恵、榎本隆之、小原俊、大平浩哉、黒川孝広、小林塑青、坂口京子、沢豊彦、田近洵一、山下勇人、吉武真理子、渡辺通子
国語教育におけるコミュニケーション概念の導入 −国語教育学を構築していくための基礎研究として−  渡辺 通子
発表内容 (渡辺通子氏 発表資料「はじめに」より)
「コミュニケーション」という語は、既に日本語として広く市民権を得た語である。国語科教育においても、例えば「コミュニケーション能力を養う」とか、「コミュニケーションを大切にした授業」というように、多くの実践報告や研究がなされつつある。これらの研究においては、全般的傾向として、国語科教育における概念規定の定着を志向しているようであるが、しかしながらコミュニケーション概念のとらえ方は様々な広範多岐にわたっており、一様ではない。コミュニケーションという用語が使われるとき、しばしばこの用語の概念や意味は曖昧で漠然としているのである。国語教育の研究領域において、明確な概念規定や位置づけのなされないままに実践や研究が進められているのではないだろうか。
 本稿では、国語教育学を構築していくための基礎研究として、「コミュニケーション」という用語(英語)のもつ本来の意味を確認しつつ、この用語が外来語として日本に導入された歴史的な経過をたどり、どのように定着していったのかをみていくことにする。また研究手法のひとつである「コミュニケーション概念」、いわゆる「コミュニケーション理論(communication of theory)」が国語教育という研究分野において、いつ頃登場し、どのような変遷をみたのかを確認する。すなわちコミュニケーションという用語とその研究概念の形成の歴史的あとづけを図るものである。
資料目次 はじめに
1 「コミュニケーション」の受胎
2 「コミュニケーション」の認知
3 国語教育における「コミュニケーション研究」
米国ハワイ州の新指導要領より『Language Arts』の紹介  榎本 隆之
発表内容 米国ハワイ州の新指導要領(Hawai'i Content and Performance Standards)の中の、「LanguageArts」(言語科)について説明した。領域が「読むこと・文学」「書くこと」「話すこと・聞くこと」の3領域であり、その中には、言語の学習としての位置付けがはっきりしていて、
1.主体的に学ぶ姿勢
2.共同することの必要性を理解すること
3.複雑な思考もし、問題解決を目指すこと
などの目標が織り込まれている。特に、高校では、日常の言語の使用ができる範囲での学習に目標が置かれている。
今後は、詳しい内容の分析をしたい。
(まとめ 黒川孝広)
資料目次 1 ハワイ州の教育事情について
  教育制度
  基礎データ
  教育省
  E-School
2 指導要領(公立幼稚園〜公立高校、全科目)の概要
  指導要領の位置付けと教育改革
  指導要領の改定
  10科目+解説
  各科目共通の記述形式
  指導要領の特徴
3 Language Arts(「言語科」)の概要
  概要
  指導内容・達成基準について
  改定のポイント
  指導内容の一覧
  領域別達成目標
  1.読むこと・文学
  2.書くこと
  3.話すこと・聞くこと
  用語解説  

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