国語教育史学会

第10回例会(国語教育史研究会)

日 時 2000年3月27日(月) 2:00〜5:00 早稲田大学14号館807室
題 目 研 究 昭和26年版「小学校学習指導要領国語科編(試案)」における「国語能力表」の検討 −成立とその意義−
  小山 恵美子(東京学芸大学教育学部附属大泉小学校)
研 究 ”新教育”の波紋と実践への模索 −全国国語教育研究者集会の研究討議(昭和28〜31年)と輿水実− 
  大平 浩哉(前早稲田大学教授)
参加者 石毛慎一、岩崎淳、牛山恵、内田剛、大平浩哉、大屋敷全、喜多見眞弓、工藤哲夫、黒川孝広、小国喜弘、小林塑青、小山恵美子、田近洵一、中村孝一、花田修一、前田健太郎、水野美佐、依藤美佐
昭和26年版「小学校学習指導要領国語科編(試案)」における「国語能力表」の検討  小山 恵美子
発表内容 (資料より)
<意義と問題>
・かなり体系的、系統的に項目を示してあるが、十分ではない。
・目標の方向性を示すものと、能力の自然な発達の系統を示すものとが混在している。また、認知面であったり、情意面であったり、双方の組み合わせであったりして、明確に区別されているとは言いがたい。
・能力をどうとらえるのか。能力表は目標を示したものでなければならないが、そのための調査研究が不十分であった。
・能力の羅列に見えてしまう中に、どのような言語能力をつけるべきかということを検討しようとした。
・「国語能力表」は日常の実践にどのように反映されたのか。
・現場にこの「国語能力表」はどのように受け入れられたのか。部分的な広まりではなかったか。
・学習者主体の学習として国語の学習を変革しようとした意義は大きかった。
・すでに経験主義を批判的に乗り越えようとする意図があった。
・国語科という教科をどのようなものとして位置付けるかが不鮮明になってきた。
・言語活動のおもしろさ、楽しさの中で、言語に対する興味、関心、意欲は高まる。しか、このような学習で学校がはたして系統的、総合的に身につけていくことをになえるのかが不確かではなかったか。
・変化する社会に対応しようとしつつ、結局は今現在の子どもたちに必要な能力とは何かが見えていなかったのではないか。
4.まとめと今後の課題
・当時の教育現場のありようや具体的実践事例を発掘することをとおして、経験的な教育が位置づきにくかった事情を明らかにする。
・「国語能力表」の成立を更に検証し、新たな問題点と意義を検討する。
・検定教科書との関連を探る。
・学校ではどんな言葉の力をどのような場で育てていくことが可能か。(どのような生活を通して学ぶ力へと発展させて行くことが可能か。)
(編集:黒川)
資料目次 内容
1 経験主義国語教育は、どのような点において批判されたか。
2 「国語能力表」とは何か。
3 「国語能力表」の検討
4 まとめと今後の課題
”新教育”の波紋と実践への模索  大平 浩哉
発表内容 全国国語教育研究者集会の内容を検討し、学習指導要領、そして戦後教育がどのようであったかを検討することで、平成14年からの学習指導要領と現在の国語教育の問題を照らし合わせると、様々な問題点がすでに語られていることがわかる。その問題を解決すべく真剣な討議がされたのが、この例会であった。
(文責:黒川)
資料目次 1 対象文献
 (1)輿水実『人間形成の国語教育』
 (2)輿水実『国語学習指導法の再建』
 (3)輿水実『言語経験と教室活動』
2 第一回全国国語教育研究者集会案内
3 開催要項
4 参会者
5 『人間形成の国語教育』
6 『国語学習指導法の再建』
7 『言語経験と教室活動』

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