国語教育史学会

第13回例会(国語教育史研究会)

日 時

2000年7月15日(土) 2:00〜5:00 早稲田大学14号館804室

題 目 研 究 漢文教育の上にみる新教育の特質
   坂口 京子(荒川区立第四中学校)
資料紹介 昭和20年代における綜合主義教育
  浅見 優子(千代田区立お茶の水小学校)
   田近ゼミ戦後国語教育史研究グループ(田近、前田、今井、浅見)
参加者 浅見優子 石毛慎一 今井亮二 牛山恵 大平浩哉 喜多見眞弓 工藤哲夫 小山恵美子 坂口京子 黒川孝広 高田恵立子 高山美佐 田近洵一 田村景子 前田健太郎 山下勇人 依藤美佐 渡辺京美
漢文教育の上にみる新教育の特質 
  坂口 京子
発表内容 ※発表資料より
1 はじめに
戦前、「国民精神の涵養」を目的とし、忠孝を中心とする倫理教育の中心学科として位置付けられていた「漢文」は、昭和20年の終戦後、修身・地理歴史とともに一時は廃止の勧告を受けることとなる。戦後の漢文教育は存続の危機を脱するところから始まったともいえる。
 一方、新教育はアメリカの経験主義教育の導入であった。カリキュラム改造論として導入された当初は、民主的社会の成員となるための経験的な教育を中核(コア)とし、教科の学習はそれと関連させるというカリキュラム案が示された。しかし、現場におけるカリキュラム改造論は浸透せず、教科中心のカリキュラムの中での学習者の「経験」「生活」「興味」を重視した学習指導法を工夫するという考え方が主張される。国語教育において倉澤栄吉に代表される学習指導論としての新教育の方向性である。
 本稿では、昭和26年までの漢文教育存続の経緯を概観し、当時の新教育が漢文教育にどのように受容されていったか、またそこに新教育のどのような特質がみられるかを考察してみたい。
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4 まとめと課題
 以上のように、戦後の教育改革により、国語教育の一環であり国語を補完するものとして位置付けられた漢文教育は、新教育の概念及び方法を導入することで学習者主体の教育を目指そうとした。中等学校段階では現代文での教材化が中心であり、教材の内容も文化読本的傾向が強かったことから、そこでの単元学習は「古典としての漢文単元学習」というよりも「漢文的内容を中心とした単元学習」であったと考えられる。高等学校段階では単元学習を意図した教科書編集が特徴的である。「古典における単元学習」の是非は当時も盛んに論議されているが、この点を単元学習の本質とともに考察していくこと、具体的な実践案の分析を今後の課題としたい。
資料目次 1   はじめに
2   昭和20年以降の漢文教育
2.1 国語教育の一環としての漢文教育
2.2 学習指導要領における漢文教育
3   漢文教育の上にみる新教育の特質
3.1 学習者の興味・関心を意識した教材化
3.2 単元学習の考え方
3.3 学習指導の工夫
4   まとめと課題
昭和20年代における綜合主義教育
浅見 優子
発表内容
資料目次

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